【違法建築物に注意】

 一定の建物を建築する場合、事前に公共団体の管轄部署にどのような建物を建てるのか、という計画を届け、その建物が適法である旨の「建築確認」を取得する必要があります。そして、建物が竣工した後には、計画通りにその建物が建築された証明として、「確認検査」を受け、「検査済証」を取得する必要があります。
しかし、現実には建築確認は取得したものの、建物竣工後に確認検査を受けていない建物、確認検査を取得したのち、申請なく増改築された建物、いわゆる違法建築物が数多く存在しています。
 これらの建物については特に罰則があるわけではないので、平時にはそのリスクが顕在化することはありませ。しかし、主に以下の2つのケースでリスクが顕在化することになります。
①銀行からの融資を受ける際
 不動産を担保に融資を受ける際、当該建物が違法建築物に該当していると、融資を断られるケースが多くあります。やはり、コンプライアンスの観点からは金融機関としても融資には慎重にならざるを得ないのです。
RC10階建ての賃貸マンションの屋上部分にペントハウスが増築されて違法状態になっていたため、金融機関がそのペントハウスの撤去を条件に融資をしたという事例があります。ペントハウスの撤去には1千万円以上かかったということです。
 融資を受けることができない不動産は売却時に買主が限定されてしまうため、割安な価格で売却しなければならなくなります。資産価値を維持するためにも違法な建築・増改築は避けるべきです。
②事故・災害発生時
 建築基準法等の建物に関する法律は安全・防災を趣旨とするものが多く、これに違反した建物を放置し、それが原因で事故や災害時に負傷者や死亡者が発生した場合は、所有者・管理者の責任が問われることとなります。
 最近は減ってきましたが、まだまだ、依頼者に適正な説明もないままに違法な建築・増改築を勧める工務店が多くあります。最終的に損をするのは消費者です。ここはオーナー側で知識武装しておく必要があります。
 また、違法な収益物件が割安に売りに出されることもありますが、その取得にあたっては利回りに目を奪われてしまわぬよう、そのリスクも踏まえて冷静な判断が必要になります。

投稿者プロフィール

森田努
森田努かんべ土地建物株式会社 鑑定企画室 室長
1976年、栃木県生まれ。横浜国立大学卒業。近畿日本ツーリスト株式会社、株式会社有線ブロードネットワークス(現・株式会社USEN)、株式会社アグレックスなど、さまざまな業界を経て平成20年に不動産鑑定士試験論文式試験に合格、平成23年不動産鑑定士登録。一般社団法人さいたま幸せ相続相談センター代表理事。
不動産鑑定士試験合格後、都内の不動産鑑定事務所において約2年間、不良債権に係るバルクセール案件の評価、メガバンク依頼による関連会社間における不動産売買にかかる評価など、年間100件以上の案件を手がける。
平成24年かんべ土地建物株式会社に入社後、30億円規模のリノベーションマンション、50億円規模のマンション予定地の売買価格の評価から、借地権及び底地の売買価格の評価まで幅広い案件に携わっている。
実際のマーケットを重視した適正・中立な鑑定評価を心がけ、近年は単なる鑑定評価に留まらず、遺言書の作成・遺留分の減殺請求・借地権や共有の解消といった不動産・相続問題のコンサルティングに力を入れている。
趣味はフットサル、サッカー観戦、料理(得意料理は煮魚)、旅行。