【難易度の高い土地の分割】

 相続において、一つの土地を分割して複数の相続人がそれぞれ相続することがあります。
また、共有状態になっている土地を現物分割して共有者がそれぞれ単独所有にすることもあります。
 このように、一体となっている土地を分割しなければならないケースは多々あるのですが、実際に分割する際には色々と困ることがあります。そして、困りごとの一つに、どのように線を引いて分割するのか?といことがあります。
 ここに、以下のイ~二のような土地があったとします。そしてこれらの土地はいずれも2名の共有で、持分はいずれも1/2ずつだったとします。これらの土地について現物分割するケースを考えてみましょう。
【画地イ 200㎡】
AもBも中間画地、南側道路、形状も同じなので、同じ単価になります。そのため、同じ面積で等分することが可能です。
この場合、単価・面積について論点はありません。
A:10万円/㎡ ⇒ 10万円/㎡×100㎡=1,000万円
B:10万円/㎡ ⇒ 10万円/㎡×100㎡=1,000万円
【画地ロ 220㎡】
角地であるため、C・Dのように分割すると片方は中間画地、もう一方は角地になります。この場合、角地Dの方が利便性が高いため、単価は高くなります。そうなると、CとDの価値を同じにするため面積で調整する必要が生じます。具体的にはCの面積をDよりも大きくすることでCとDの価値を等しくさせることになります。
ただ、CとDの単価をいくらと考えるかによって面積配分が異なるので、そこが大きな問題となります。
 ①C:10万円/㎡、D:12万円/㎡の場合
    C:10万円/㎡×120㎡=1,200万円
    D:12万円/㎡×100㎡=1,200万円
 ②C:10万円/㎡、D:11万円/㎡の場合
    C:10万円/㎡×115㎡≒1,150万円
    D:11万円/㎡×105㎡≒1,150万円
⇒①と②では面積配分が異なる
【画地ハ】
Fが長方形の整形地であることに対し、Eはいわゆる旗竿地で、単価はE<Fとなり、やはり面積の調整が必要となります。そして、それぞれの単価が論点になります。
【画地ニ】
旗竿地であるため、そもそも2分割することが難しい土地です。
 画地ロ、画地ハのようなケースでは不動産鑑定士等の専門家にに相談する等、それぞれの共有者が納得のできる対応が必要になってくるのです。
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投稿者プロフィール

森田 努
森田 努かんべ土地建物株式会社 鑑定企画室 室長
1976年、栃木県生まれ。横浜国立大学卒業。近畿日本ツーリスト株式会社、株式会社有線ブロードネットワークス(現・株式会社USEN)、株式会社アグレックスなど、さまざまな業界を経て平成20年に不動産鑑定士試験論文式試験に合格、平成23年不動産鑑定士登録。一般社団法人さいたま幸せ相続相談センター代表理事。
不動産鑑定士試験合格後、都内の不動産鑑定事務所において約2年間、不良債権に係るバルクセール案件の評価、メガバンク依頼による関連会社間における不動産売買にかかる評価など、年間100件以上の案件を手がける。
平成24年かんべ土地建物株式会社に入社後、30億円規模のリノベーションマンション、50億円規模のマンション予定地の売買価格の評価から、借地権及び底地の売買価格の評価まで幅広い案件に携わっている。
実際のマーケットを重視した適正・中立な鑑定評価を心がけ、近年は単なる鑑定評価に留まらず、遺言書の作成・遺留分の減殺請求・借地権や共有の解消といった不動産・相続問題のコンサルティングに力を入れている。
趣味はフットサル、サッカー観戦、料理(得意料理は煮魚)、旅行。